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Reasons to pick up social novels | 社会派小説を選ぶ時の視点

2024-02-26

Reasons to pick up social novels | 社会派小説を選ぶ時の視点

Third Place for Thinking 2nd Event | 思考のサードプレイス第2回

Yesterday, we successfully held the 2nd meeting for the Third Place for Thinking for a discussion on social novels, especially on the reasons to pick up social novels for reading. We had 7 people from various fields including massmedia, book experts, and people working for non-Japanese capital companies, and enjoyed insightful conversation.


In Japan the term "social novel" appeared in the Meiji Period (late 19th century), meaning "novels focusing on social problems to critique the society or the politics. Nowadays, the term is probably used in a broader sense, including social misteries, economic or political fictions, and spy novels.


Anyway. As for the reasons to pick up social novels, we got the following:


・To understand and gain deeper insights what is going on in the society

・By reading the dark side of people, we can see the things from different perspectives

・Emotional subtlety behind the social issues or themes

・Sympathy to the characters' feelings and emotions, which are common beyond the time or generation differences 

・Warning to the unbalances or distortions surrounding us and we are involved without knowing

・After watching movies or TV dramas based on a social novel

・As a law school student, wanted to know the historical background of precedents

・Curious about the logic and psychology operating in large firms


The list of referred books:


・Ryo Kuroki "Enery"

・Ryuichi Teshima "Ultra Dollar"

・Bungeishunju Ltd. "The World of Seicho Matsumoto"

・Jun Ikeido "A tire popping off the rim"

・Natsuo Kirino "OUT"

・Fuminori Nakamura "The Empire R"

・Kazumi Takahashi "My heart isn't a stone"

・Ryo Asai "A Reason for Dying?"

・Shuju Okuno "Twisted Bond - 17 years after the switched babies"

・Takeshi Shiota "The Voice of Crime"

・Ryoe Tsukimura "Hakujitu" (daylight or spotless in Japanese)

・Shichiri Nakayama "The Sword of Themis"

・Hideo Yokoyama "North Light"

・Jun Ikeido "We started a career in the bubble era"

・Seicho Matsumoto "Suna-no-Utsuwa" (A Vessel of Sand)


Seicho Matsumoto was the favorite novelost of most of the participants, and we talked about the differences of different editions of "Suna-no-Utsuwa", such as a TV drama in 2004 and a movie 1974. Seicho is known as a prolific writer, and the compete collection of his works are contained in 66 volumes of books published by Bungeishunju. A participant told that it is getting very rare for Japanese publishers to publish a complete collection of works of an author, though they used to be very popular in Japan, because they don't sell well enough to cover the huge cost. 

Another participant told that he personally knows the pershon who became a model of the main character of a novel referred, by which our conversation was heated up even more.

昨日は思考のサードプレイス、2回目のイベントとして読書会を開催しました。

7人の方にお集り頂いたのですが、元メディア関係の方、外資系企業にお勤めの方、本に造詣の深い方など、幅広い分野の方にご参加頂き、かなり濃い~話になったので、レポートしたいと思います。


「社会派小説を読む」というテーマを設定したものの、私自身「社会派小説とは何か?」ということについて、少し曖昧だったので少し調べてみたところ、「社会派小説」という用語は辞書的なものには載っていませんでした😅

「社会小説(social novels/social problem novels)」という言葉はあって、「社会問題を主題として社会批評や政治批評の意図を含んでいる小説」というのが大体共通した定義で、日本では明治時代に提唱され始めたジャンルということです。

とはいえ、ネットで検索すると、「社会派小説」という言葉は広く使われており、お薦め本を紹介するウェブページなどが幾つも見つかります。例えば、「日々是読書旅(https://doku-tabi.com/)」というサイトでは、社会派小説について「この私たちが住んでいる社会の中に潜んでいる社会が抱える問題をテーマとして扱った小説のこと」と定義していました。これは自分の感覚にも合致するので、この意味で「社会派小説」という言葉を使わせてもらうことにしようと思います。


ちなみに、「社会派推理小説(社会派ミステリー)」という用語は、推理小説のジャンルの一つとして1960年頃から使われているそうで、これと「社会小説」とのミックスとして「社会派小説」という言い方が出てきたのかな、という気がしています。

「社会派ミステリー」以外にも、「経済小説」、「政治ドラマ小説」、「スパイ小説」といったものもあり、これらは「社会派小説」のサブカテゴリ―ということになるのだろうと思いました。


前置きが長くなりました。

「社会派小説を選ぶ時の視点」として、出てきたのは下記のようなものでした。


・現在起こっていることを知るため、より深く理解するため

・人の心の裏にある“闇”が細かく描かれているのを読むことで、別の角度から出来事を眺めることが出来る

・テーマの背後にある切なさをリリカルにえぐる瑞々しい感性

・テーマそのものより、その奥にある人の心の繊細さや心の動きが描かれているのが面白い

・作品が書かれた時代や作者の年代が違っても、主人公が置かれた立場で感じる葛藤や挫折感など、現在の自分に共通する感情や感覚があって共感できる

・現代社会、現代人が抱える歪みに気付かされる

・映像化された作品を見たことがきっかけで、小説も読み始めた

・学生時代に法律を勉強していた時、過去の判例の時代背景を理解したくて

・日本の大企業で、組織がどのように動くのか知りたかった


参加者の方たちからご紹介があった本は下記のとおりです。


・黒木 亮 『エネルギー』(2008年、日経BP社)

・手嶋 龍一 『ウルトラ・ダラー』(2007年、新潮社)

・文藝春秋 『松本清張の世界』(1992年、文藝春秋)

・池井戸 潤 『空飛ぶタイヤ』(2006年、実業之日本社)

・桐野 夏生 『OUT』(1997年、講談社)

・中村 文則 『R帝国』(2017年、中央公論新社)

・高橋 和巳 『我が心は石にあらず』(1967年、新潮社)

・朝井 リョウ 『死にがいを求めて生きているの』(2019年、中央公論新社)

・奥野 修司 『赤ちゃん取り違え事件の十七年 ねじれた絆』(1995年、新潮社)

・塩田 武士 『罪の声』(2016年、講談社)

・月村 了衛 『白日』(2020年、KADOKAWA)

・中山 七里 『テミスの剣』(2014年、文藝春秋)

・横山 秀夫 『ノースライト』(2019年、新潮社)

・池井戸 潤 『オレたちバブル入行組』(2004年、文藝春秋)

・松本清張 『砂の器』(1961年、光文社)


やはり松本清張は人気で、2004年のTBSドラマ版と1974年の映画との比較談義など色々と話が尽きませんでした。松本清張と言えば多作で知られ、文藝春秋社が出している全集は66巻にも及ぶ膨大なものですが、以前は出版社の主力商品だった有名作家の「全集」が、昨今は殆ど作られなくなっている現状についてのお話しもありました。確かに、自分が子供の頃は、百科事典や文学全集といったものが応接間の本棚に並べられて(飾られて?)いましたが、最近は見かけなくなったような気がします。

参加者の一人は、紹介された本の1つについて、登場人物のモデルになった方を知っているといったビックリなお話も飛び出して、とても盛り上がった楽しいひと時でした。

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